前投稿で還付金詐欺について記載しましたが、その直後に、新聞紙面を騒がせた詐欺事件記事がありました。
「積水ハウス55億円被害の詐欺 地面師グループ8名を逮捕」
昨年8月に発覚した55億円という巨額な詐欺被害、しかもこの種の詐欺に対する備えが万全のはずののプロである積水ハウスが騙されたということで、非常に衝撃的な事件です。
なぜこんなことが起こったのでしょうか?
「地面師詐欺」とは?
そもそも「地面師詐欺」とは何でしょうか?
「地面師」は、広辞苑では「自分に所有権のない土地を勝手に売り飛ばす詐欺師。」と説明されています。
つまり自分の土地じゃないのに、地主だと偽って他人の土地を勝手に売ってしまう詐欺師。
「地面師詐欺」は近年あまり耳にしない言葉ですが、実は戦後の混乱期、そして土地の価値が青天井だったバブル期に特に横行していた結構古くからある詐欺です。
そんな昭和のにおいを感じる詐欺が近年復活してきているのは、東京オリンピックや各地方都市の再開発で、土地の価値が上がってきたからでしょうか。
積水ハウス以外も狙われていた
そんな地面師詐欺に積水ハウスは騙されてしまいました。
積水ハウスが購入したと思った土地は、JR山手線の五反田駅から徒歩3分という好立地。
色々な不動産会社が購入したいと打診しても、所有者は先祖伝来の土地を売らず断り続けていたようです。
そんな好立地を地面師グループは、本人確認書類や印鑑を偽造し、所有者に成りすまして当該土地の転売をたくらみ、積水ハウスを含む数社へ打診していたようです。
しかし、積水ハウス以外の業者は騙されませんでした。
本人の話に違和感を感じたり、土地の周辺住民に所有者の確認したり、法務局に確認をしたことで、詐欺であると見抜いたのです。
本当の所有者からの抗議も届いたが・・・
一方、積水ハウスはそのような確認を怠り、違和感に気づくことなく話を進めました。
それどころか、本当の所有者や外部から指摘の文書や抗議が届いたが、それは「取引妨害のいやがらせ」とみなし、取合いませんでした。
一説では、「社長案件だったからチェックが甘くなった」とも言われておりますが、魅力的な土地物件を前に、偽造された本人確認書類を過度に信用し、思い込み・先入観で真実を見抜くことができず、結局桁違いの被害を被ることになりました。
地面師詐欺グループ十数名のうち、8名が逮捕されたということですが、主犯格を含め数人はまだ逃亡中。
残りのメンバーを逮捕できても、実行犯以外のメンバーを立件するのは至難の業だそうです。
被害額はどれくらい戻ってくるのでしょうか。。。
土地バブル時は特にご注意を
土地バブルになると暗躍する地面師。
東京オリンピックが目前に迫った東京は、名古屋以上に好立地の奪い合いになっているのでしょう。チャンスを逃すまいとする心理からできる隙や甘さにつけこまれ、普段ならば見抜けることも見抜けなくなっている状態なのかもしれません。
愛知でもリニア駅や名古屋・栄の再開発がありますので、土地の売買を行う方は、慎重に慎重を期して確認を怠らず、被害に遭わないよう注意してください。