古来より日本には万物に神が宿るという「八百万の神」の信仰があります。
これから建物を建てる土地にもその土地を守護する神様がいて、その神様へ土地を使わせていただく許しを得るための儀式が「地鎮祭(「地祭り」などとも言います)」です。
地鎮祭を行うかどうかは施主様の自由な御意思で決めていただきます。
地鎮祭 は本来施主様主催の祭事ですが、ご依頼いただければ弊社にて手配いたします。
行うタイミングとしては、古い建物の解体や整地が行われた後、地盤工事や基礎工事が始まる前の「大安」「先勝」「友引」などの吉日を選んで行います。
今回は、地鎮祭の一般的な流れをご紹介します。
地鎮祭は地域の習慣や神社により、異なる部分はありますが、弊社の地鎮祭は基本的に下記のような流れとなります。
0)手水(ちょうず)
祭場に入る入口で、手水桶の水で手や口をすすぎ心身を清めます。
参列者が全員着席したら、開会が宣言されます。
1)修祓の儀(しゅうばつのぎ)
神主さんによる、お供え物や祭具、祭場や参列者などを祓い清める儀式です。
神様にお越しいただく前に、まず物や人が持つ気の乱れ「穢れ(けがれ)」を清めることから始めます。
2)降神の儀(こうしんのぎ)
神様を祭壇の依り代にお招きする儀式です。
神主さんが、微かな声(微音)で降神いただくことば(降神詞)を唱えます。
そして最後に「おーーー」と掛け声をかけます。
これは「 警蹕 (けいひつ)」といって、神様がお越しになりましたので不敬の無いよう注意してください、と参列者に呼び掛けているのです。
3)献饌(けんせん)
神様に「神饌品」を、神前に供える儀式です。
「神饌品」は神様に捧げる食物で、米、酒、乾物、野菜、果物、水、塩などになります。
4)祝詞奏上(のりとそうじょう)
地鎮祭の一番の目的である、 神様へ願いをお伝えする儀式です。
その土地に建物を建てることへの許しと工事の安全を願い、祝詞という神様に唱える言葉で奏上します。
祝詞奏上中は、全員で頭を下げて参列者一同で祈願します。
5)清祓の儀(きよはらいのぎ)
「四方祓い(しほうはらい)」「切麻散米(きりぬささんまい)」とも言います。
建築する敷地に悪い災が入ってきて工事関係者やその土地に関わる方々に「禍」が及ばないように、敷地の四方と中央に、切麻(麻や紙を細かく切って米とかきまぜたもの)を撒き祓い清めます。
6)地鎮の儀(じちんのぎ)
祓い清められた土地に、施主・設計者・施工者が初めて手を付け、工事の安全を願う儀式です。
祭壇横の盛砂に対しそれぞれ、掛け声とともに、施主が鎌で盛砂の草を刈り(刈初の儀)、設計者が鍬で砂を掘り起こし(鍬入の儀)、施工会社が鋤で砂をすくう(鋤入の儀)をします。
上記は弊社が執り行う式の一般的な役割であり、誰が何を行うかは地域や状況、参加者によって異なります。
7)玉串奉奠(たまぐしほうてん)
「玉串」とは神木である「榊(さかき)」にしめ縄飾りなどでよく目にする「紙垂(しで)」を結んだもので、神様と人を結びつけるものと言われています。
参列者は玉串に自分の心を託して、神様に捧げ工事の安全を祈願します。
8)撤饌(てっせん)
神饌を神様の前からお下げします。
実際に神饌を祭壇から下げるわけではなく、神主さんが祭壇の酒器などの蓋をします。
9)昇神の儀(しょうしんのぎ)
お迎えした神様にお礼を述べて、お帰りいただく儀式です。
昇神の儀を終えたら、閉会が宣言され、地鎮祭は終了です。
10)直会(なおらい)
閉会後に参列者が神饌のお下がりを頂戴することを、「直会」といいます。
工事の着工を記念して、お下がりの御神酒を小皿に分けていただきます。
それぞれ施主様や設計士、施工会社の方々から挨拶をいただき、この日が迎えられたお礼と、これから力を合わせ素晴らしい建物を建てていきましょう、と結束を高めてお開きとなります。
儀式は30分くらいが目安となります。
地鎮祭は「初詣」などと同じ宗教行事であり、施主様の気持ちに依るところが大きく、行わなかったからといって、施工の品質が劣るなどの不利益が発生するわけではありません。ただ、家を建てるという大きなプロジェクトを前に、施主様のご家族・ご親族と設計者・施工会社の主要スタッフが一堂に会し、家づくりに対する想いも担当者以外の者にも直接伝えていただける貴重な場ですので、弊社としては行うことをお勧めします。